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「子どもの摂食障害」

[2021.12.17]

小児精神勉強会を行いました~。今回は、摂食障害がテーマです。

 

 摂食障害の子ども達は、「前頭葉や視床下部が機能不全」を起こしていると考えられているそうです。また、不安に関与している扁桃体や報酬系に関与している側坐核などが関与しているとされているそうです。

 不安や恐怖から食べられなくなったり、食べることをやめられなくなったりと自分の意思ではどうにもならない状態に陥ります。また、痩せ願望、肥満恐怖、身体像の歪みなどがある場合もあります。成熟拒否や自我同一性を巡る思春期特有の葛藤ははっきりしないまでも、抑うつ症状、強迫症状、恐怖症状、不安症状、不登校は併存しやすいそうです。

 

 るい痩の著しい子どもが食後に急激な痛みを感じる場合、「上腸間膜動脈(SMA)症候群」を疑う必要があるそうです。SMA症候群は、やせで内臓脂肪が著しく少なくなったため、食事摂取により食物が十二指腸に入ると、十二指腸水平脚が大動脈と上腸間膜動脈に挟まれ、狭窄や閉塞が生じ腹痛や嘔吐が生じる症候群です。食べていない期間が続くときに大量に食べると、急激な腹痛が生じるため、ゆっくり食事量を戻す事が大事です。また、13歳以下の摂食障害の30%前後に、適応障害、発達障害、強迫症、不安症、パーソナリティ障害、抑うつ障害、選択性緘黙などの併存症が認められるそうです。昨今、発達障害との併存報告が増加しており、父母に発達障害の特徴がある場合、家族に対しても適切な支援が必要とのことでした。

 

 診断はDSM-5の診断基準が利用される事が多いそうです。DSM-5によると、摂食障害は、①異食②反芻症、回避・制限性食物摂取症 ③神経性やせ症 ④神経性過食症 ⑤過食性障害に分類されます。その中でも、②回避・制限性食物摂取症と③神経性やせ症が子どもでは圧倒的に多く、中学生後半くらいから④神経性過食症が現れるそうです。②回避・制限性食物摂取症、③神経性やせ症が回復する過程で、④神経性過食症や⑤過食性障害の診断基準を一時的に満たすこともあるそうです。②回避・制限性食物摂取症、②神経性やせ症から④神経性過食症や⑤過食性障害へ移行することもあるそうです。摂食障害は様々な疾病、症状の総称で、個人差、年齢差、男女差、生育環境などにより多様な状態で現れるようです。

 

 摂食障害の発症に関わる因子として、生物学的因子、生育環境、個人の因子、社会的因子などが絡み合い、発症すると言われています。複雑な個人因子を理解し、発症を誘発したり、再発したり、症状を持続させる要因を検討する視点が必要とのことです。症状が出現した際には、再発の要因を発見し、対策を練ることは再発予防に有効だそう。進路、部活動、趣味など再発要因は、同時に治療意欲を増す要因にもなるそうです。改善に向け、進路や部活動での活躍、趣味の発展など共通の目標を持ち、栄養不良や痩せから脱却し、健康的な生活を目指すのも寛解への道とのことです。それと同時に長期にわたる発達、成長、ライフサイクルから見た視点も忘れないようにしなければならないとのことです。

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