「子どものうつ病」
児童精神科医の猪子香代医師の「子どものうつ病理解と回復のために」を参考に勉強会しました。
10代のうつ病有病率が増加傾向にあるらしく、10代では3~8%だそうです。また、児童期から青年期(5歳~18歳)の間にうつ病を体験する人は、20%に達するらしいです。こどものうつ病の多くは、適切に理解されていない事が多いとの事です。実際に、訪問看護のエリア区の人口で換算してみると下記の通りです。これは、多いという印象です。
年齢と有病率 |
神奈川区 |
鶴見区 |
港北区 |
南区 |
10歳~18歳(人) |
16,005 |
21,535 |
24,205 |
12,537 |
5歳~18歳(人) |
25,061 |
34,153 |
38,478 |
19,046 |
8%(人) |
1,281 |
1,708 |
1,937 |
1,003 |
20%(人) |
5,013 |
6,831 |
7,696 |
3,810 |
うつ病の症状は、大人でも小児でも基本的には同じだそう。でも、特徴的な症状のうちどのようなものが目立つかは、年齢と共に変化する可能性があるそうです。「DSM-5」によるうつ病の症状項目のうち、5つの症状があるときに、うつ病の可能性があると考えられるとの事です。
子どものうつ病の特徴は、下記の通りです。
- 子どものうつの特徴は、うつ気分を、悲しい、つらい、寂しい、むなしい、イライラする、嫌な気分になるといった訴えもある。また、周囲は怒りっぽくなったと感じることもある。
- 子どもが睡眠や食欲の問題を持った時は、睡眠障害や接触障害と区別する必要がある。接触障害とうつ病は合併することもある。
- 身体症状は、「頭痛」、「腹痛」、「吐き気」といった身体症状を訴える場合もある。これらの子どもは、感情を意識しない、感情を言語化しない傾向がある。10代の子どもは、自律神経のアンバランスを起こしやすく身体症状を起こしやすい。また、心理的にうまく感情をコントロールできずに自律神経のアンバランスを起こしやすいともいえる。子どもの身体的精神的発達に、生活のペースを合わせる対応が上手く行く事もある。
- どこから「うつ病」とするのかは、うつ気分やうつ気分に伴う症状が、それくらい彼らの社会機能に影響しているかで判断される。
- うつ病は、他の病態がともなう事が多い。
- 子どものうつ病は、反抗的行動が症状として現れる事がある。発達障害との区別が重要。
- 子どもが心理的に不安定であると、反抗や衝動といった状態を呈する事がある。子どもの心理的安定のためには、理解と受容が大事。
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子どものうつ病によくみられる症状 |
うつ気分とその関連症状 |
悲しい、つらい、さびしい、むなしい |
イライラする、怒りっぽい |
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楽しくない |
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絶望感、将来への悲観 |
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自分には価値がないと思う |
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悪い結果になったのは、自分のせいと思う |
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身体的な訴え |
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うつ病の行動に現れる症状 |
落ち着きなく動き回る |
何をするのも遅くなる |
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話さなくなる |
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やらなければならないこともできない |
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面倒くさい |
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集中できない |
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次の行動を考える事ができない |
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うつ病の身体的な症状 |
食欲がない、体重が減った |
食べ過ぎてしまう、体重が増えた |
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眠れない |
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いつまでも眠っている |