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「ウイルス感染の免疫防御システム」

[2021.12.06]

 キラーT細胞ってかっこいい!!

 ウイルス感染は、「細胞性免疫」で防御します。ウイルスを防御する主役は、細胞障害性T細胞(別名キラーT細胞)というリンパ球です。細胞傷害性T細胞は、好中球のように異物(ウイルス)を直接貪食することはなく、ウイルス感染してしまった自分の細胞をまるごと破壊することによって、さらなる感染を防いでいます。このT細胞が感染細胞を破壊する免疫防御反応のことを「細胞性免疫」といいます。また、それによって生じる炎症を「リンパ球性炎症」といいます。リンパ球性炎症では、全身のリンパ節が腫れたり(化膿性炎症でもリンパ節が腫れることがある)、肉芽腫とよばれる組織の炎症性変化を伴う症状がでます。

 

 

 インターフェロンって偉大!!

ウイルスに侵入(感染)されてしまった上皮細胞は、自分の中でウイルス核酸の複製が行われて いることを感じると、IFN-α、IFN-βを産生します。インターフェロンとは、サイトカインの一種 で、ウイルスの複製を阻害します。また、マクロファージやNK細胞や、T細胞の殺傷能力を増大させます。IFN-αとIFN-βはマクロファージ、樹状細胞、すべてのウイルス感染細胞によって産生され、感染した細胞の新たなウイルスの複製を阻害します。ちなみにIFN-αは 、ウイルス性肝炎の治療薬として臨床応用されていますね。

東京大学医科学研究所附属感染症国際研究センターシステムウイルス学分野の佐藤准教授らは、ウイルス感染に対する免疫応答の中枢を担うインターフェロンの産生を抑制する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のタンパク質ORF6を発見しました。SARS-CoV-2 ORF6タンパク質のインターフェロン抑制活性は、2002~2003年に世界各国で流行したSARSウイルス(SARS-CoV)のORFよりも強いことから、ORF6タンパク質の機能が、COVID-19に特徴的な病態と関連している可能性が考えられています。人間の免疫応答を阻害するとは、ウイルスと人類との戦いといえますね。

 

 

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