「人はなぜ自殺するのか」
神田沙也加さんがお亡くなりになりました。遺書も見つかっているとか。とてもかわいい方で、歌が上手という印象があります。自殺なのか事故なのかはまだ判明していないとの報道ですが、自殺なのかもしれないと思います。追悼の意を込めて、「人はなぜ自殺するのか」を考えてみたいと思います。
自殺という行動背景には、「耐え難い精神苦痛」や「満たされない欲求」、「絶望感と無力感」といった否定的感情が存在すると、自殺研究者のエドウィン・シュナイドマンは、自殺に共通する10の特徴を明らかにしました。そして、その否定的感情による苦痛が耐えがたい強度で持続し、逃げ出すことができない状況へと至ったとき、人は心理的視野狭窄に陥り、困難な状況から脱出する唯一の方法として自殺を考えると言いました。
自殺に共通する10の特徴 (shneidman ES. Definiton of Suicide. 1985)
① |
自殺に共通する目的は、問題を解決することである。 |
② |
自殺に共通するゴールは、いっさいの意識活動を止めることである。 |
③ |
自殺に共通する動機は、耐え難い精神的苦痛である。 |
④ |
自殺に共通するストレッサーは、満たされない欲求である。 |
⑤ |
自殺に共通する感情は、絶望感と無力感である。 |
⑥ |
自殺に共通する認知の状態は、両価性である。 |
⑦ |
自殺に共通する行動は、脱出である。 |
⑧ |
自殺に共通する対他的行動は、意図の伝達である。 |
⑨ |
自殺に共通する対処パターンは、それまでの人生において繰り返されてきたものである。 |
トマス・ジョイナーは、自殺は、所属感の減弱、負担感の知覚、自殺潜在能力の3つが重なると重篤な自殺企図に繋がると言っています。困難な状況から逃れるための自殺ですが、自殺が解決策になったのかどうか、自殺した人が楽になれたのかは分からないので、困難な状況から逃れる方法として正しいのか疑問が残ります。看護師としては、自殺が解決であって欲しくないと願います。
2020年3月に公表された報告では、国民幸福度が最も高かったのは、3年連続1位でフィンランド、日本は62位でした。この結果は、驚愕です。自殺者の増加と関連していると思われます。
ウェルビーイングな状態で生きるには、人を大事にし、繋がり、支え合い、困難を乗り越える力を身に着ける事が重要だと思います。これからの社会はますます変化が激しくなり、困難と感じる事もあると思います。そんな時こそ、ウェルビーイングな状態が重要です。次回は、ウェルビーイングな状態について書きたいと思います。